参議院選挙も終わった。
そこで、選挙とアンケートの関係、特にネットを使ったアンケートと投票、および当確予想のアンケート(出口調査)について考えてみよう。
メディア各社は選挙になるとどこも当選者の予想を行うので、一見アンケートと似ている。しかし、実際はかなり違う。
選挙予想では当選者は誰かということを他社よりもいち早く報道することが重要だ。しかし、いち早く当確予報を出して万歳三唱したあとで、実は落選でしたでは絵にならない。正確に予測することが重要になる。このためにメディア各社は記者たちによる選挙運動の状況調査や選挙当日の投票所ごとの出口調査などのデータ分析を徹底して行い、開票状況からして他候補との差は確実に大きく逆転は不可能と判断した時に初めて当確を出す。
●アンケートと選挙結果予想の違い
これが選挙予想のアンケートとの最大の違いである。アンケートでは集計途中のデータは見ず、最終結果だけで判断する。さらにアンケートでは、トップかどうかは問題ではなく、各候補案の支持率の分布が最大の関心になる。A、B、Cと3案があった時に、どの案、例えばA案がトップかどうかではなく、A案がどれだけ他を引き離しているか、あるいは伯仲しているかが問題になる。一方選挙では、例え1票差でも勝ちは勝ちであり、逆に圧倒的大差ならば開票開始と同時に当確を出すことも可能である。
一方アンケートでは、各案の支持の分布状況こそが重要なのである。
これは言われてみれば当然のことであるが、現実にはトップはどの案かということに注目しがちであり、各案の分布は二の次になりがちである。これに対してアンケートでは当選者が誰かということではなく、各案の分布の傾向がどうなっているかがポイントになる。選挙では当選者が誰かを予想するので、僅差の勝利でも勝ちは勝ちであるが、アンケートの場合は「僅差は同等」と判断した方が良い場合が多いのである。
●アンケートで注目したい「その他の扱い」
そしてもう一つ重要なのが、「その他の扱い」である。
選挙では、立候補していない人の名前を書いたり、判読できない文字だったりは無効票になり、何も書かないと白票と一緒になってしまう。しかしアンケートの場合は、「その他」という選択肢があり、回答者が自由記述の文章を書ける場合が多い。その場合に、質問作成者が想定しなかった回答文を挙げてくる人がいる。特に自治会のように回答者の総数が数百人の場合には、誰もが想定しなかった有効な第3の案を提起している場合がある。
そういう意味でも、アンケートというのは非常に重要であり、少子高齢化が進む自治会で、多様な意見を吸い上げるためには欠かせない方法である。
来月号以降でも、このアンケートをさらに掘り下げていきますので、乞うご期待。