<ブログ>【ひぎり―と】

電話の「輻輳」って何?

先日7月2日に発生したauの通信障害により全国的な輻輳が発生し、携帯電話が繋がらない等のトラブルが長時間続いた。現在の通信網は最新技術の進歩により非常に複雑になっているので、「もしも大地震が起こったら」と不安になった方もおられるでしょう。そこで基本的な知識として、「輻輳とは何か」を学習しておきましょう。

●輻輳とは

「輻輳」とは信号やデータが集中して、混雑した状態のことをいう専門用語であり、車の渋滞と同じである。高速道路の場合は、一旦渋滞に巻き込まれると、高速道路を降りるわけにはいかないので、渋滞解消に時間がかかる。一方電話の場合は、ビジートーンになると一旦電話を切って再度電話をかけなおすことが簡単にできるため、さらに電話の再呼び出しが急増して輻輳になりやすくなる。大晦日の深夜のカウントダウンコールやおめでとうコールは毎年起こる輻輳の例である。また花火大会などの大規模イベントも一か所に大勢のお客が集まるので輻輳が発生しやすい状況になります。

●高度通信網のアキレス腱

このように「輻輳」というのは昔からある普通の現象で、通信のパイプを太くするとか、輻輳時の規制を高度化する等の対策が採られてきました。ただ、最近のインターネットはますます高度化し、複雑化してきているので、輻輳の発生メカニズムもより複雑化し、制御が難しくなっています。

例えばリモートワークで普及したZoomのweb会議もその典型例だ。ビデオ会議を使わない音声会議だけだと、殆ど問題ないが、ビデオ会議を使うと流れるデータ量が一気に数百倍に増加する。しかも相手の顔画像が左右に動くと更に数百倍に急増する。また相手が一人ではなく10人程度になると、通信が混雑して表示が遅くなったという経験は多くの人がお持ちでしょう。

昔の電話は音声だけだったので、発着の加入者の間に64kbpsの音声パイプを固定的に接続するだけで、64kbpsの音質の電話通信を保証できたが、現在では音声も画像も、さらに銀行ATMのデータ通信も同じインターネットで効率よく通信できるように進歩してきたが、一旦事故等で輻輳が発生すると輻輳の影響はより深刻になります。

●災害が発生した時には、どうすればよいか

大災害が発生した時に輻輳が発生するのは避けられません。対策は大きく二つ。

  • 混雑を避けて、輻輳が収まるのを待つ
  • 輻輳が起こりにくい、データ量の少ない通信手段を使う

電話で再呼び出ししてもダメなら1時間程度待ってから電話してみるのが良い。最近は深夜12時を過ぎても電話が減らないから、早朝の朝6時前に電話し直すというのも一案であるが、相手の睡眠を邪魔するので要注意です。

データ量の少ない通信手段としては、電話を使うよりLINEやスマホのeメールを使う方法である。ショートメッセージも可能だ。電話はビジーになる確率が高いのでお薦めではありません。少なくともZoomのwebビデオ会議などは厳禁だ。 地震の時にLINE等で「安全だよ」とか「どこそこにいるよ」と伝えるメッセージは、相手がその時にいなくても連絡できるし、通信データ量も非常に少ないので、一番確実な連絡手段です。