「少子高齢化」の問題を議論すると、本来は「少子」と「高齢化」を議論すべきなのに、往々にして後者をパスして前者だけを議論する人が多い。何が本題かを考えたい。
<政治における少子高齢化>
今政治の世界では、昨年末以来裏金献金問題から、派閥解消へと議論が沸騰し、さらには派閥解消から色々な政策研究会を立ち上げようとする動きがある。
だけどそういう政治の金の話が話題になるだけで、政治家の世代交代による「若返り」の議論が中々出てこない。
<自治会における少子高齢化>
自治会は権力闘争とは無縁であり、金の疑惑も起こらない。だから本来の世代交代が本格的に議論されるはずだが、現実は中々進まない。世代別人口が一番多いと言われる「団塊の世代」、1947年から1949年生まれの人が今順次後期高齢者の仲間入りをしている。他の世代より3倍も人数が多いのだから必ず何かが起こる。小学校のクラス数も3倍以上に増え(今年小学校を卒業するのは100人にも満たない)、大学紛争が起こり、そしてバブルとなって弾けた。
そして人口は2010年に1億2千8百万人のピークに達し、2050年には1億人に減少する。その後年々人口減少が進み、2100年には8千万人になると言われている。
<そして引退という「働き方改革」>
しかし問題は人口だけに留まらない。今、人々の働き方が変わっている「働き方改革」である。人口が減りGDPが少なくなると、「非正規」問題が生じ定年後も働く人が増えてくる。折しも男女同権の動きに乗って、パートだった女性も今では男女平等に働いている。
それによって自治会も変わりつつある。今までは女性が裏方として支えていたが、今では男女ともに仕事を持っているために、自治会活動への参加も激減してきた。東京などでは自治会が存続出来ないところも出てきている。
今は会員の減少が目に付くようになってきているが、この動きは今後真益々顕著になる。「旗書き方改革」という舞台の変化
そこで考えたいのがドイツである。ドイツは日本同様製造業が力を持っている国であるが、日本とは考え方が少し違っている。彼らは働くときは一生懸命に生産性向上に努力して世界有数の工業国家になったが、一旦仕事を離れると余暇も最大限に楽しむ国なのである。「有給休暇の国際比較調査」によると、2021年のドイツの有給休暇取得状況は支給日数30日のうち28日を取得して取得率93%です(日本は20日支給・12日取得で取得率60%)。彼らは夏休みになると南国の海浜でのリゾートを楽しむが、日本は後手後手に束の間の休暇を楽しむ国なのである。積極的に舞台が変わったことを活用すべきではないか。
「隠居」という生活スタイル
そういう時に勧めたいのが「隠居」という生活スタイルである。
定年が65歳ということになると、それまでに人生の生活費を稼いでおかなければならない。自治会活動があってもメリハリをつけて、必要人間だけで効率的に会議を行い、それ以外は個人の余暇の時間を大切にする。そしてある程度の軽作業が必要な時はボランティアという引退した人中心で行う。
そして若い人の活力を活用したいときは本当のボランティアに頑張って貰う。
また日々の活動では、ITを積極的に活用して効率的に議論を行う。そして焦点がはっきりしてくると対面で徹底的に議論する。
「ボランティア」という言葉と「隠居」という言葉を明確にして、自治会の活動方法を具体的に議論していくべき時期と思う。
若い世代が極端に少ない「少子高齢化」の時代には、単に世代交代の促進と言っているだけでは問題は解決しない。「隠居」というあいまいな生活スタイルを真剣に考える時である。ボランティアには世代の意味付けはない。しかし「隠居」は「引退」ではない。