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LINEとSNS

先日の「日限山通信」に、納涼祭の中止が報告されていて(https://higiriyama.org/?p=2082)、「LINE上での議論の進め方に不慣れ」であったことが一つの要因に挙げられていた。

確かにLINEは便利で急速に私たちの生活に溶け込んでいる。だけどLINEによるいじめの問題は、小中学生の間では以前から問題になっていて、今でも不登校などの大きな社会問題になっているので、子を持つ若い親にとっては不安のタネである。そしてそれは、単に子供達の世界だけではなく「パワハラ・セクハラ」などと形を変えて、広く大人の世界にまで広まっているとなると、慎重に考える必要がある。

SNSとは

これらのサービスは一般にはSNS、ソーシャルネットワークサービスとして知られているサービスで、簡単に言えば「短文投稿サイト」あるいは「他の人と繋がり、交流できるサービス」として知られているもので、LINE以外にもフェイスブック、インスタグラム、ツイッターなどのサービスがある。

当初2003年頃に「ウェブ上の記録」という意味を持つ「ブログ」として始まり、日本でも草創期の2004年頃には、mixi(ミクシー)が立ち上がり、最盛時には1000万人をこえるユーザーを集めたことがある。

そしてスマートフォンが急拡大する中で、SNSというサービスジャンルが確立されてきた。ただその発展の歴史を振り返ると、日記風の個人投稿の発信に重きを置くフェイスブックや写真系のインスタグラムなどの情報発信系サービスと、短文記事の交流に重きを置くツイッターやLINEのような交流系のサービスがある。前者の記事をブログと言い、その発信で生計を立てる人をブロガーと呼ぶことがあるが、まとめてサービス全体をSNSと呼ぶことが多い。

例えば情報発信系では、毎日のお料理の写真とレシピを投稿して楽しむクックパッドなどは、時短のためのレシピ探しとか、一寸違ったレシピにチャレンジしたいといった人達に支持されているSNSである。人目に付かない隠れた観光サイトなどを紹介するSNSサイトもある。

ただこのようなグルメや料理レシピのSNSだと気に入らなければ読み飛ばされるだけで済むが、ツィッターのような情報交流系のSNSでは情報の交流とは異なる「感情の交流」という側面の問題が出てくる。他人の投稿を見て、気に入った投稿を他の友人に紹介して友だちの輪を拡げようとすると色々な問題が出てくるようになった。「いいね」という友だち受けを狙った共感の情報発信をしたつもりが、紹介された友だちにとってはくだらない記事であったり反感を呼び起こすネタになると問題が大きくなる。共感を呼ぶためのちょっとした冗談や悪ふざけがLINEでよく問題になる「いじめ」の原因のきっかけである。

SNSとは社会的な交流の輪を拡げようとするサービスであるから、既に相互の信頼関係が完全に出来上がっている社会では、SNSは確立した信頼を確かめ合うサービスになるので、信頼の強化に繋がるが、交流の輪を拡げようとする段階では、信頼関係が未だ出来上がっていないことが多いから、SNSは予期せぬ不信関係に陥ることが多い。

SNSとの上手な付き合い方

人間社会というのは「信頼の交流」によって成り立っている。だからSNSは色々な発信情報を交流し合うことにより信頼を築こうとするサービスだから、スマホ時代の現代においては、SNSは欠くことのできない情報ツールである。しかし、それが人間関係の信頼関係を維持・増進するための「もろ刃の剣」になり得ることを知っていることが、現代人にとって重要な社会常識である時代になっている。

私たちが人と対話をする時は、自分の意見を一方的に述べている時でも、常に相手の反応を伺いながら、時に話の調子を変えたりする。しかし一般のSNSではそういうことができない。自分の意見を文章にして発信し、その応答が相手から帰ってくるまでは一方通行の状態なのである。そして相手からのメッセージに対する怒りや同調の感情、あるいは不安の感情は相手には見えない。内なる感情を整理して得られた最終的な結果としての感情だけが言葉になって返されるだけで、元の発信者はその結果を見て評価するだけである。

このようにSNSで1つのメッセージを発信して返事が返ってくる間に、人は多くの態度という感情情報をやり取りしているため、SNSでは重要な感情情報が抜け落ちてしまうことが多い。しかし一方では、対話の場合の欠点を補う効果もある。「場の雰囲気」に押されて発言できなかったりといったことがなく、冷静に考えた意見だけが交流されるという効果もある。

交流の輪を拡げようとするサービスがSNSであるから、そこで話題にするのも交流の信頼関係増強に明らかに効果があると思える話題に限定するのが良い。だから誰もが「いいね」と思うような話題に限定し、信頼関係が確立される状態に応じて話題を拡大していくのが良いのである。

人は初対面でもSNSの輪を拡げようとするが、SNSは何時でも使えて便利なツールであるから気軽にSNSを使おうとする。しかし信頼関係が醸成されていない段階では注意が必要であり慎重なメッセージ発信が必要になる。ありふれた連絡事項の交流から始めるのが良く、難しい問題に賛否を求めたり意見の同意を求める議論は対面で行い、同時に対面の議論の後には十分な思考の時間を設ける必要がある。やはりそういう生の声が伝わる対面などの通信手段と自分自身で考えを整理する思考の時間を適当に組み合わせることが、インターネットという便利な通信手段が実現された新しい意見交流のあるべき姿であり、我々はまだまだその発展途上にあり、「信頼関係」と「情報交流」の経験を積んでいく必要がある時代と言える。