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自治会 曲がり角

最近、少子高齢化による自治会の会員数減少が問題になっている。丁度そういう時に朝日新聞3月5日と12日(日)のオピニオン欄に「自治会・町内会 曲がり角」という特集記事があった。ホットな話題として紹介する。

●委員掛け持ち 偏る負担

5日版では、「委員掛け持ち 偏る負担」という表題で役員の負担が重たく、その割に参加しているメリットを感じられないとの悩みが記されていて、下図のような「自治会に加入する人が減っているのはなぜか」というアンケート結果が示されていた。

この図を見ると、回答者343人中約8割の人が自治会に参加しているが、自治会が必要かと問われると、必要またはどちらかと言えば必要と考える人は約4割にしか過ぎない。そして自治会に加入する人が減っているのはなぜですかと質問すると、「参加する利点が分からない」128人、「役員や班長をやりたくない」93人の2つがダントツで合わせて64%の人が今の自治会に疑問を投げかけている。地域活動に興味がないとか、会費の負担が大きいと思っている人はごくわずかであり、自治会を退会しても近所づきあいは変わらず、続けられているという。

要するに自治会の必要性が会員全体に共有されていないのである。さらに突き詰めると、30年に及ぶ経済停滞の中で格差社会化が進み、今の日本は共稼ぎが増えて働く世代が多忙になり、「自助・近助」などという社会貢献のボランティア精神では自治会を維持できないという窮地に追い込まれているのである。だから新聞は「誰もができる範囲で、できることをする形であるべきだと思う。入っていない人が入りたいと思える自治会が理想だ」と言っている。

●回覧版はLINE 町内会費はコンビニ払い

そして12日版ではその解決策の一案として「回覧版はLINE 町内会費はコンビニ払い」という取り組みなどが紹介されていた。

そもそも、上に述べたように、多くの人は自治会の必要性に疑問符を投げかけている。そういう中で自治会に期待するのはどのような役割ですかと優先する3つの回答を問うたのが下図である。

「防災活動や災害時の助け合い」168人、「子供の見守りや防犯など、地域の安全を守る活動」130人がトップツーで、「特にない」104人以下徐々に下がり、「お祭りなどイベントを通じた住民の交流」の支持は53人、実質5%(=53÷343÷3)にしかならないのが現状である。

そこで注目されたのがLINEへの回覧版配布などの情報交流の活性化である。総務省の全国1741市町村を対象にした21年度の調査では、「ホームページ所有」14%、「電子メール活用」13%、「LINEやフェイスブックなどの活用」12%だった。幸い日限山自治会はホームページ・電子メール活用は既に実現しておりLINEについても去年の防災訓練で660名(約6割)の方に参加していただき、今後は参加者の更なる拡大と内容の充実化が求められている段階である。

そして役員の負担軽減策として注目されているのがコンビニ払いなどのキャッシュレス決済などのサービスを活用した送金機能で、20年度からPayPay(ペイペイ)やドコモのd払いなどを利用した取り組みが紹介されている。ただこのようなスマホを活用したキャッシュレス決済を活用しない人もいることから今後も続けるかどうかは検討中という。スマホを利用できない人やコンビニさえもいけない人などの改善策から漏れてしまう人やそれを防ぐ班長の負担などの慎重な検討が必要な状況であろう。

●日限山は曲がり角?

以上に紹介したように、日本の自治会は今曲がり角に来ている。日限山自治会もその例外ではない。IT化の取り組みでは先進市町村の中には入ると言えるけれども、その内実は厳しいのが実態である。特に新型コロナ感染症の影響で地域交流が完全に止まってしまった影響が大きい。

日限山自治会最大のイベントである「納涼祭」も3年間中止の状態に陥り、今復活しようとしても、太鼓や神輿の準備で頑張っていただいた高齢者も引退状態になってしまい、そのノウハウを引き継ぐ若者世代は少子化と共稼ぎにより自治会活動に参加する時間も取れない窮状である。社会貢献という高いボランティア精神を持っていても現実の高いハードルを越えることはできない。上記記事の編集者が言うように、「誰もができる範囲でできることをする形であるべき」という提言は心に刺さる。しかし、そういう窮状を認識したうえで、今の自治会をどうすべきなのかを考えることが私たちに問われている。