<ブログ>【ひぎり―と】

防災への切実な願いから誕生したLINE

あるサービスが急速に普及する背景に多くの人や社会が抱える大きな課題(ペイン)がきっかけとなることは少なくありません。

最近では新型コロナウィルスによってリモートワークを余儀なくされたことによって、Zoomなどリモート会議システムが急速に発展し、半年も経たないうちに浸透しました。

現在、日常のコミュニケーションとして多くの人に使われているLINEも実はある出来事がきっかけで生まれています。

LINEのサービス開始日は2011年6月23日です。年月日でピンときた人もいると思いますが、実はLINEの誕生は東日本大震災と密接に繋がっています。

震災発生時、携帯電話の基地局は地震や津波による停電や、回線の混雑で大部分の機能が停止、電話はつながりにくく、メールは効果を発揮できませんでした。

当時、ネイバージャパン(現LINE株式会社)はこの問題をどうにか解決するため、家族や親しい人とつながり、即時にメッセージをつなぐことができるアプリを開発することを素早く意志決定し、そこから二ヶ月でシステムを作り上げて、開始まで漕ぎ着けました。

「LINE」という名前は人と人を結ぶ線、どんな時でも大事な人との線がつながるようにという思いが込められています。

また、最初の中心的な機能は震災時の痛みや教訓をもとに作られています。LINEの代名詞とも言える相手がメッセージを読んだかわかる「既読」機能も緊急時の安否確認につながるということで導入が決定しました。

現在、LINEの普及率は日本で飛び抜けていますが、世界のシェアで考えると1位はWhatsApp2位はFacebook Messenger、3位はWeChat、LINEは8位でどちらかと言うとマイナーな部類に入ります。

そんなLINEが日本で断トツのシェアを取ったのは偶然ではなく、東日本大震災という未曾有の危機の中で、どの企業よりも迅速に意思決定をして動いたことで災害をはじめとした緊急時に最も適した連絡手段をいの一番に提供したからに他なりません。

そして5年後、東日本大震災の教訓は熊本地震で生かされました。この時も電話は繋がらず、メールも即時性がなく効果を発揮できない中でLINEの安否確認や素早い情報交換は大きな効果を発揮しました。とりわけ「既読」と「多人数でやり取りを共有できる」特性は緊急時に大いに役立ったようです。

元々、このような事態が起こった時のために作られた「LINE」としては、災害時に役目を果たすことができたことは、サービス冥利に尽きるといったところでしょう。